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全てのジュエルシードをかけて全力で戦うなのはとフェイト。お互いの魔法を駆使した攻防は一進一退を続けていた。 周囲の苦言を受けながらも、『ジュエルシードを封印する』『フェイトとも和解する』の両方をやり抜く事を選んだなのははその心に秘めた『覚悟』によって、プレシアへの盲信で動き続けるフェイトと渡り合う。 そして、最後の瞬間の決め手となったのが、その受動的ではない自分自身を貫き続けたなのはの覚悟だった。 フェイトをバインドで捕える事に成功。抵抗するフェイトの魔法弾が全身を襲っても、なのははバインドを解除しなかった。 『いったん食らいついたら、腕や脚の一本や二本失おうとも決して『魔法』は解除しない―――』 幼い少女が胸に宿らせた鋼の信念は、襲い掛かるダメージを凌駕し、ついに最後の一撃によって雌雄は決したのだ。 激戦の果て。自らの敗北を受け入れたフェイトはなのはへジュエルシードを渡す事を決意したのだった。 スター・ライト・ブレイカーの直撃を受けたフェイトが束の間の眠りから目を覚ますと、体を支える暖かい腕の感触をまず感じた。 自分を容赦なく叩きのめした少女<高町なのは>の腕の中だった。 「……わたしの勝ちだね」 傷ついたフェイトを見下ろし、なのはが厳かに現実を突きつける。敗北した者に対する情けは、そこには無かった。 初めてなのはを見た時感じた儚さ、日常生活の中で偶然出会った時に見た柔らかな笑顔、それらの少女らしい雰囲気を一切削ぎ落とした戦士の顔がそこにある。 それはなのはの戦う時の顔だった。『やる』と決めた時、戦い抜く『覚悟』をした時、彼女はいつも変貌する。 自分は、その『覚悟』に負けたのだ―――フェイトは理解した。 「そう、みたいだね……」 敗北した僅かな失望感を抱き、フェイトは呟いた。 負けてしまった。母の為の戦いに敗北してしまった。これからどうなるのか、フェイト自身にも分からない。 しかし、不思議と不安や焦燥のようなものは感じていなかった。 何もかもなくしてしまったような消失感を感じながら、自分を抱く小さな少女の腕がとても暖かい事に奇妙な安らぎを感じる。 幾度も戦い、その容赦の無い戦い方に何度も戦慄した目の前の敵である少女に、今はもう全てを委ねてしまいたい気持ちすらあった。 戦いの中で、なのはは何度もフェイトを叱った。 敵から浴びせられる罵倒とも取れる叱責は、しかしプレシアがフェイトに叩きつける言葉とは全く違い、厳しさに隠された思いやりがあったのを、今の彼女は半ば悟っていたのだった。 『よし、なのは。ジュエルシードを確保して。それから彼女を―――』 クロノからの通信をなのはは無視した。 ただ、腕の中のフェイトを静かに見つめている。彼女が何かを言いたいのだと、なのはは分かっていた。 「……私は、これからどうなるんだろう?」 未だ茫然自失とした心のまま、フェイトは虚空を見上げたままポツリと呟く。 「アナタに負けて、ジュエルシードも全部失って……そして、母さんの願いも叶えられないまま、管理局に連れて行かれる……。私はこれからどこへ行くの?」 心の亀裂から漏れるように流れていくフェイトの呟きは徐々に震え始める。 現実感を取り戻してきた心が、滲んでくる黒い染みのように、不安を感じ始めていた。 「……フェイトちゃんがこれからどうなるのか? わたしの考えではたぶんこうだよ……。 まずフェイトちゃんのお母さんを捕まえる。裁判の流れによっては、罰も軽くなるかもしれない。そして、フェイトちゃんはそんなお母さんと一緒に罪を償いながら暮らしていく……。きっと遠い国で……少しずつ『普通の幸せ』を手にしながら暮らすんだよ……」 震えるフェイトになのはが紡いだ言葉が、静かに心に染み込んでいく。心に広がる黒い滲みを白く消していく。 不安に震える迷い子のような未来が、その言葉で明るく済んでゆくような錯覚をフェイトは感じた。 なのはが言った内容が、本当に現実となるのではないか―――そう信じてしまうような優しい響きが、なのはの淡々とした話の中にあった。 「……本当に、そうなるのかな? 私、本当に母さんと、そんな風に支え合って生きていけるのかな……?」 「そんな事を心配する親子はいないよ」 一見すると素っ気無いなのはの断言には、フェイトの不安をかき消す強さがあった。 「……そうだよね。その通りだよね……そんな事心配するなんて、おかしいよね……」 フェイトに小さな微笑みが浮かぶ。 全てが、なのはの言うとおりに進んでしまうような説得力。それがフェイトの心に安らかな気持ちを与えていた。 初めて出会った時から圧倒され続けていた、なのはの傲慢とも言える『貫く意志の強さ』 その強さが、こんなにも暖かくて心地良いものなのだと、フェイトは初めて理解したのだった。 フェイトの笑みに対して、なのはもようやく微笑みを浮かべる。 それが、本当に救いに思えた。 『Put out』 主の敗北を認めたバルディッシュが、収納していたジュエルシードを全て解放する。 全ての始まりだったジュエルシード―――それが今、ようやく終結に向かう。 なのはの手を離れ、向かい合う形になったフェイトは奇妙な清々しさの中ジュエルシードを渡そうと手を伸ばし―――。 次の瞬間、上空から巨大な魔力の雷がフェイトに飛来した。 「が……ぁ……っ!!」 「フェイト、ちゃん……?」 すでに魔力を使い果たしていたフェイトは、成す術も無く第三者の攻撃を受けるしかなかった。 不意の攻撃に呆然とするなのはの目の前で、フェイトが禍々しい雷光に包まれ、悶え苦しむ。主の代わりにダメージの大半を引き受けたバルディッシュが砕け、待機モードへ強制的に変化した。 「なにィィィィッ―――ッ!! フェイトちゃん!!!」 なのはは目の前の光景を理解し、湧き上がる驚愕と怒りの感情を爆発させた。 「まさかッ!」 この攻撃は、『誰』がしたものなのか。 「そんなッ! まさか―――ッ!」 この戦いを見ている可能性のある者の中で、こんな事をするのは、一体誰なのか! 考えたくはなかった。 高町なのはが生きていく上で、もっとも信じがたい現実が目の前にある事を認めたくはなかった。 家族とは守るもの。家族とは愛するもの。 優しい家庭で生まれ、育ったなのはにとって、それは最も度し難い許されざる事実! 有り得ない! 『母』が『娘』を手に掛けるなんてッ! 「プレシア・テスタロッサ―――ッ!!」 力尽き、落ちていくフェイトを慌てて抱き上げ、なのはは空を睨みながら呻くようにその名を口にした。 幸福に包まれた人間は、不幸な人間に言葉を掛けるべきではないのだろうか? 高町なのはには母親がいる。優しく、正しく、自分を生み出してくれた母親が。 苦しみの中で手にする力もあれば、優しさによって育まれる力もある。なのはの持つ力は、まさに後者であった。 彼女の目覚めは一人の少女との出会いだったが、彼女が正しい道を歩めるように教え導いてくれたのは、彼女の母であり家族であったのだ。 家族は、なのはをこの世のあらゆる残酷さから今日まで守ってくれていた。 ―――だから、今目の前で人生の全てを否定されたフェイトという少女に対して、自分はどんな慰めの言葉も掛ける資格はないのかもしれない。 目の前のモニターに映るプレシアから紡がれる言葉と、叩きつけられる現実。 それはおおよそ、誰も想像し得なかった最悪の現実だった。 『折角アリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない、私のお人形』 事故で亡くした実の娘<アリシア>の代わりとして作り出されたクローン<フェイト> 『作り物の命は所詮作り物……失ったものの代わりにはならないわ』 そのフェイトを娘として愛せないプレシア。 『いい事を教えてあげるわフェイト。アナタを作り出してからずぅっとね……私はアナタが、大嫌いだったのよッ!!』 「―――ッ!」 そして、決定的な一言が、フェイトを支える最後の柱をへし折った。 「フェイトちゃん!」 エイミィの叫びは悲鳴に近い。今、目の前の少女は心を深く刺されたのだ。 全てを失い、フェイトは気絶する。 倒れ込む彼女の体を、その場の誰よりも早く支える腕があった。 「……」 「なのは……」 高町なのはだった。 目の前で繰り広げれる悲壮な光景を、一番嘆き悲しむ筈の少女は、今の今まで無言を貫き、ただプレシアの映るモニターを見据えていた。 しかし、一見無表情に見えるなのはの内に燃え盛る業火を、誰よりも付き合いの長いユーノだけが正確に感じ取っていた。 ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ ┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ 「―――吐き気を催す、『邪悪』とは」 「な、なのはさん……?」 これまでの行動から、逆上しかねないなのはを落ち着かせようとするリンディだったが、歴戦の彼女すらも今のなのはの静かな迫力には圧された。 力なく横たわるフェイトを抱き締めたまま、なのははモニター越しにプレシアを睨み据える。 「何も知らない無知なる者を利用する事なの……。自分の利益だけのために利用する事なの…………」 「なのは……お、落ち着いて!! 魔力が溢れ出してる、危険だ!」 彼女を中心に湧き上がる見えない圧力に誰もが押し黙る中、言葉は静かに紡がれていたが、なのはの変化は確実に現れていた。 フェイトとの戦いで疲弊した筈の体から、マグマのように吹き上がる攻撃的な魔力の奔流。 なのはの内なる怒りを現すように、その魔力は放出されるだけで艦内の電子機器に異常な反応を起こさせる。 「母親がなにも知らぬ『娘』を!! てめーだけの都合でッ! ゆるさないッ! あんたは今、再びッ! フェイトちゃんの心を『裏切った』ッ!!!」 なのはの中で、これまで感じた事の無い『怒り』が爆発した。 「なのは……」 『怒り』を言葉にした少女を誰もが見つめる中、それは誰が呟いたものか。 ただ、その場の誰もが高町なのはに圧倒されていた。誰もが時空の秩序を守る組織に属する『正義の執行者』を誇りながら、彼女のあまりにも純粋で強烈な『間違った事への怒り』に呑まれていたのだ。 なのはの怒りには『正義の心』へ向かう意志があった。全員が、それを理解出来た。 『……『何』を、そんなに怒っているのかしら? 理解できないわ』 念話越しにすら感じるなのはの怒りの魔力は、プレシアの意識すら引き付けた。ただ、彼女にはなのはの怒りの意味を理解出来なかったが。 「フェイトちゃんが目を醒ましたのなら―――母親なんて最初からいなかったと伝えておくよ……」 『……フェイトですって? フェイトがなんだというの? その人形の事はアナタには何の関係もない!』 「貴女にわたしの心は永遠にわからないのッ!!」 最悪を告げる鐘が鳴る。 九つのジュエルシードがその力を解放され、次元を歪ませるようなエネルギーが荒れ狂う。狂った願いは、幾つもの想いを呑み込んでいく。 その渦中で、狂気に支配された魔法使いが一人。 その渦中に、自ら飛び込む魔法使いが一人。 最後の戦いが、今始まろうとしていた―――。 バ―――――z______ン! リリカルなのは 第十一話、完! to be continued……> <次回予告> ジュエルシードが発動し、次元震のアラームが鳴り響く中、なのははクロノ達と共にプレシア・テスタロッサの根城へ突入する事を決意する。 慌しく動き始める事態の中で、全てを失い傷ついたフェイトは、戦いながらも自分を導いてもくれたなのはに縋るのだった。 「クロノ君は『逮捕』と言うけれど、わたしはこれが『命の遣り取り』になると思っているの。そして、プレシア・テスタロッサは必ず倒す! ……フェイトちゃん、あなたはどうするの?」 甘えを許さぬなのはの視線を受けながら、目の前に置かれた残酷な選択に苦悩するフェイト。 「わ、わたし……」 母親に捨てられた今、傷を抱えてただじっとしているのか、それともなのはと共に全ての決着を付けに行くのか。 「ど……どうしよう? 私? ねえ……私、どうすればいい? 行った方がいいと思う?」 全てを失った今、フェイトは『何か』が欲しかった。否定された自分を現実に繋ぎ止める為の何かが。 「怖い?」 「うん……す、すごく怖いよ。 で……でも『命令』してよ……。『いっしょに来い!』って命令してくれるのなら、そうすれば勇気が湧いてくる。母さんの時みたいに、アナタの命令なら何も怖くないんだ……!」 しかし、目の前の厳しい少女は、フェイトに無条件でそれを与えてはくれない。 「だめだよ……こればかりは『命令』できない! フェイトちゃんが決めるんだよ……。自分の『歩く道』は、自分が決めるんだ……」 「わ……わからない。私、もうわからないよォ……だって、だって私は……」 「だけど、忠告はするよ」 人間であるという人としての基盤さえ失ったフェイトに、あまりに過酷な選択肢を与えたなのはは、答えを聞く前に踵を返した。 「『来ないで』フェイトちゃん……。アナタには向いてない」 傷ついたフェイトを置いていく厳しさと、母親と思っていた相手と戦わなければならない場所へ連れて行かない優しさを合わせ持つなのはの言葉が、最後まで彼女の胸に残った……。 一個の石から始まった物語。 多くの出会い、多くの別れ、多くの悲しみ、多くの痛み―――全てがここの結集する! 「バルディッシュ、私達の全ては……まだ、始まってもいない!」 立ち上がれ、少女! 「『なのは』ァアアアア!! 行くよッ! 私も行くッ! 行くんだよォ―――ッ!!」 目醒めろ、戦士! 「私に『来るな』と命令しないで―――ッ! このまま終わるのなんて嫌だ! 本当の『自分』を始める為に、今までの『自分』を終わらせるんだ!!」 次回、魔法少女リリカルなのは 第十二話『宿命が閉じる時なの』 「『友達だ』なら使ってもいいッ!!」 リリカルマジカル燃え尽きるほどヒート! 魔法少女の最終決戦、ここに決着ゥ―――ッ!! 前へ 目次へ 次へ
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ブレイクブレイド StrikeS クロス元:ブレイクブレイド 第1話「異界再起」 第2話「聴取混乱」 第3話「勧誘争奪」 第4話「閑話歓談」 第5話「訓練観戦」 第6話「錬後捜索」 第7話「会食外食」 第8話「権勢考察」 第9話「入局試験」 第10話「開発難儀」 第11話「反逆再来」 第12話「設立前夜」 第13話「突発戦闘」 第14話「同形異形」 第15話「新器琢磨」 第16話「強制対話」 第17話「埋腹雌伏」 第18話「初陣出撃」 第19話「難敵遭遇」 第20話「縦横無尽」 第21話「想像不明」 第22話「嫌疑開戦」 第23話「公私混同」 第24話「邸内探索」 第25話「作戦誤読」 第26話「難敵遭遇②」 第27話「内部疾患」 第28話「早朝訓練」 第29話「一触即発」 第30話「心傷回想」 第31話「降雨固地」 第31.5話「人参日記」 第32話「日常回帰」 第33話「休日騒動」 第33.5話「表紙登場」 第34話「四戦連戦①」 第34.5話「人参日記②」 第35話「四戦連戦②」 第36話「四戦連戦③」 第37話「四戦連戦④」 第38話「経歴詐称」 使用デバイス設定 コメント欄です。感想などありましたら、よろしくお願いします。 果たして上手く編集できているのだろうか? -- テスト (2010-08-05 01 38 14) ジルグ無双を期待します~ -- デルトン (2010-08-06 00 22 36) おもしろいです。 自分の判断で動く、ジルグらしい行動にわくわくします。 今後も楽しみにしています。 -- のと (2010-08-08 23 48 57) シャーリーは八神部隊長と呼んでいた筈。 -- 名無しさん (2010-08-09 22 56 11) ↑こういう指摘はすごく助かるのでありがとうございます 結構自分でもあやふやな部分もあるので -- ブレブレ×なのは (2010-08-09 23 21 32) ならば私も、フェイトは、はやてって呼び捨てにしとる。14話でもシャーリーがはやてちゃんと言ってる -- 名無しさん (2010-08-11 22 57 54) おもしろいブレブレとクロスさせキャラがジルグってところがさらに坪です -- 名無しさん (2010-08-14 16 13 00) いやあ、良いですね。面白いです。 ただ、チンクの口調が違うので違和感が。 -- れんが (2010-08-14 16 16 42) ジルグ様が見てるw -- デルトン (2010-08-15 17 27 12) 居酒屋の方にってお前らまだ未成年だろ。 -- 名無しさん (2010-08-16 23 06 01) 個人的に繋がりが深い人間で周りを固めた癖に良く言うよ。 -- 名無しさん (2010-08-21 22 19 24) コメント等にあったりそれ以外に読んでくださる人達が疑問に思っている点に関しては 一応既に展開を考えていますのでお楽しみに -- ブレブレ×なのは (2010-08-21 23 30 21) 実際誰がジルグに頭突きをくらわすのかそれが楽しみです。 -- 名無しさん (2010-08-22 02 21 52) 作戦だったとハッキリ言ったのにミスと報告した!? 嘘つきヴィータめ……。 -- 名無しさん (2010-08-24 20 59 36) 最後まで抵抗しなかったティアナも悪いが、なんなの隊長達……。気持ちの悪い偽善者ばっかり。 -- 名無しさん (2010-08-25 23 03 36) アギトは、ゼストを旦那って呼んでるよ -- 名無しさん (2010-08-25 23 14 58) ジルグさん、パネぇです。カッチョよすぎっす。 P.S デバイスの開発に何々社とか出るようになったらお仕舞いだと思うっす。 -- LCS (2010-08-28 00 47 41) 腰巾着ザマァwww -- 名無しさん (2010-08-28 09 28 03) ジルグさんが六課一の常識持ちな真人間に見えてしまうw -- 名無しさん (2010-08-28 14 21 26) ジルグ良いこと言った! 『お友達部隊』全くその通り!! -- 名無しさん (2010-08-28 21 01 31) ジルグさん、なんかカッコよすぎる。にしても、機動六課の実態が見えてくるな -- 名無しさん (2010-08-28 21 25 26) アグスタのアレは未だにミスショット扱いなんだな。デバイスの記録を調べれば作戦だと伝えたことが判るはず。そしたら結果的に嘘報告をしたヴィータの立場は……。 -- 名無しさん (2010-08-29 05 02 46) はやてが手近な人間しか集められなかったとはいえ公私混同の甚だしい部隊。普通、教練戦闘前にはブリーフィングを行って部下に的確な指導をしなければいけないのに、明らかになのはは注意事項の示達を怠っている。まぁ19の小娘に其処まで求めるのは酷だが、ティアナが可哀想である。 -- 名無しさん (2010-08-29 05 22 10) シグナムなんか戦闘以外は不得手だとかで普段はニートを決め込んでるくせにエラソーに -- 名無しさん (2010-08-29 13 39 51) この問題はどちらかが一方的に正しいとか間違ってるとかいうことではないと思う。ただ、ヴィータやシグナムを始めとした周囲の人間が「なのはさんが正しい」って姿勢だから話が拗れるんだよな。 -- 名無しさん (2010-08-29 21 17 49) ↑、正にその通り。 -- 名無しさん (2010-08-29 22 54 53) まぁ普通、話しもしない事をわかってると思うのは間違ってるよなぁ…。これも第三者視点から見てると歪みと矛盾しかない話だし -- 名無しさん (2010-08-30 00 23 38) しっかしなのはの過去のはオーバーワークの無茶、今回のティアナのは戦闘行動での無茶、この2つは別問題なのではないだろうか? -- 名無しさん (2010-08-30 14 03 34) 若さ故の過ち。しょっぱい青春やってるんだよね。 -- 名無しさん (2010-08-30 21 09 33) なのはクロスまとめサイトなんだからsts批判はどうかと。そういうところでそういう発言はやるべき。 -- 名無しさん (2010-08-31 17 22 06) ゴーレム創成とオートスフィアとデバイスの各種技術を上手く使えばブレブレのゴゥレムの類似品作れそうな気がする。 -- 名無しさん (2010-08-31 22 10 53) そう言えばリオだかコロナが造ってたな -- 名無しさん (2010-09-01 22 11 00) 戦闘スタイル云々というより性格だよな。ジルグにしたらヴィータほど扱い易いヤツはいないわな。 -- 名無しさん (2010-09-02 22 13 07) 2話が消去されてる?見過ごしてたらすいません -- 名無しさん (2010-09-03 15 49 33) ブロントさんwww -- 名無しさん (2010-09-03 18 35 54) ↑↑すみません。修正依頼が反映されたらしいので繋がらなくなっていたので修正しました。 -- ブレブレ×なのは (2010-09-03 20 18 40) って言うか改めて考えると、なのはとティアナのスタイルって、まったく違うのになんで教えてんだ?ジルグが教えた方が良いんじゃないの。 -- 名無しさん (2010-09-04 22 50 30) それ言ったらティアナだけでなく、スバル・エリオ・キャロだって自分のスタイルと合った教師に師事できてないぞww召喚士のキャロなんて特に。 -- 名無しさん (2010-09-06 21 23 46) 六課って単純バカばっか。戦ってばかりだから頭に血が上りやすいんだきっと。 -- 名無しさん (2010-09-06 21 57 28) 教導隊なんてそんなもんだぞ(苦笑) 今回の話でフェイトさんの口調に違和感しか沸かなかったのは自分だけだろうか?具体的にはリンディさんだと言われれば納得できる程度に。あと『プラズマスマッシャー』が『プラズマスラッシャー』になってる。 -- 名無しさん (2010-09-06 23 40 30) 1分の1エルテーミス型デバイスの製作はいつ始まるのですか。 -- 名無しさん (2010-09-06 23 49 42) フェイトの口調が気になる… フェイトの口調は「〜だわ」とかじゃなく「〜だね」って感じだと思う -- 名無しさん (2010-09-06 23 52 04) なのはを慕う昔の教え子とか出てこないのかなあ。 -- 名無しさん (2010-09-08 13 02 54) ↑出るのは難しいと思うぞ?なのはのいる教導隊は本局付きだろうし。 -- 名無しさん (2010-09-08 23 39 20) 地上にだって本局の部隊は山ほどあるようだけど。 -- 名無しさん (2010-09-09 10 59 07) なん、だと・・・!?wiki&三期見直してくる -- 名無しさん (2010-09-10 02 29 31) そういえばシグナムは6課の前は首都航空隊第14部隊で副隊長を務めてたな。 -- 名無しさん (2010-09-10 21 25 20) なんというか……試合に勝って勝負に負けたみたいな? 鬱憤を晴らすことばかり考えて、肝心の模擬戦をする意味忘れてどーすんだwww -- 名無しさん (2010-09-25 12 44 53) 既に下地ができていたとはいえ、自分の中の高町なのはのイメージを再現していると言って言う内容でした。善意の押しつけ、自分の考えているやり方が絶対正しいと思い込み悪意が無い分たちが悪い。しかしながら読んでいる側としてある意味想像通りの展開でグッジョブ!!です。あんな惨状を作り出しておいて、得るものがあった?って……フォワード陣の反応は人として正しい反応。 いい加減過剰なスキンシップを改めないと。シグナムも(お友達)の時に関してのみ、饒舌になるな(笑い 色々なSS読んできましたが、六課の矛盾を真っ向から批判してくれるこのような作品が一番好感を持てます。 書き続けてくださる限り、読ませていただきます。 PS個人的には高町なのはは、無印の頃から子供にしては過激思想の持ち主だと思うのは自分だけでしょうか? 白い悪魔じゃなくて既に、白い大魔王でしょ。 大切なもの?あったの?と思うのは自分だけでしょうか? -- hiro (2010-09-27 23 32 14) ジルグさんは何歳だ?19歳以下ならDGSAに出場して欲しい。 -- 名無しさん (2010-09-28 12 58 26) 極端な話、彼女には戦力の99パーセントを占める一般兵士の気持ちはわからないと思う。 それだけ力がありすぎるということ。 フェイトやはやては・・・ブレーキ効くからいいけど。 -- 名無しさん (2010-09-29 10 32 13) まぁなまじユーノの指導でそれなりの地力つけちゃったせいで正規の訓練受けてないからなぁ…野戦任官みたいなもんだから仕方ないかもしれないな -- 名無しさん (2010-09-29 20 01 10) なのは「細かいことで叱ったり怒鳴りつけてる暇があったら、模擬戦で徹底的にきっちり打ちのめしてあげるほうが教えられる側は学べることが多いって。教導隊ではよく言われてるしね」 教導隊流として代々培って出来たやり方なんだから、なのはが正しいんだよ。 -- 名無しさん (2010-09-30 23 29 43) ほぼ全編を通して、なのはのキャラが歪んでいるような気がするのですが、ブロント語などと同様にコメディと捉えた方がいいのでしょうか。 StSに矛盾を覚える人は少なくないかと思いますが、クロスキャラの口を借りてやり込めるだけでなく、一緒に変わっていけるといいなと感じました。 できれば太鼓持ちや驚き役、やられ役でなく、ジルグの新たな戦友として。 -- 名無しさん (2010-10-01 23 42 55) ジルグの年齢が17話でせいぜい二十代半ばってあるけど、(享年)19歳じゃね。ところで最終更新何時なんだろうか。 -- 名無しさん (2012-01-11 10 43 31) 今でも更新待ってるよ! -- 名無しさん (2012-01-30 18 25 02) 更新ありです -- 名無しさん (2012-12-28 14 17 28) 名前 コメント TOPページへ このページの先頭へ
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※(第2話としての「高町なのは」の概要はこちら 「大丈夫の前に、海鳴を放っておくほど、私は故郷捨ててないからね。それに私を指名した理由も、気にはなるから」 概要 この物語の主人公にして魔導師。地球、海鳴市出身の、元時空管理局一等空尉(大尉にあたる)。 声優は田村ゆかり。 療養を勧められていたこともあり、管理局から身を引いて、ミッドチルダで小さい喫茶店を開いていた。営業成績はそこそこの模様。 だが3月15日の20歳の誕生日に、時空管理局の次元牢、拘置所から犯罪者の大量脱獄を聞いた彼女は、 多数の犯罪者たちが海鳴に向かっているということもあり、再び戦いの場に赴くこととなった。 なお、前回海鳴に来たのは成人式の出席のため。 フェイトやアリサ、すずか、はやてとは子供の頃からの親友にあたる。 特にフェイトとはお互いを守りあう、支えあうと約束した本当の親友同士。 ヴィヴィオは彼女の娘(血のつながりはなく、彼女が引き取った)。現在は単身赴任状態なので ヴィヴィオとは電話や通信での連絡がせいぜい。 穏やかで元気印の誰にでも好かれる明るさが、周りの人間を集めていく不思議さを持つ。 以前に比べると性格が穏やかで平和主義気味にやわらかくなっている。喫茶店の営業と子育てで 自然と肩の力が抜けたらしい。 (メタなことを言うと、原点「とらいあんぐるハート3」の性格に寄っただけなのだが) また本人の自覚は薄いが、正義の心はとても熱い。 ユーノとは今だ友達以上、恋人未満の状態が続いている。が、そのことをつつかれるとあたふたすることから、本人もまんざらではないのかもしれない。 事件では海鳴を拠点として動いている。実家に戻っている状態である。 リーバルト・ダイオスはある種気になる犯罪者であるとともに、「さん」付けしている 唯一の犯罪者。 前述のとおり今回も主人公ではあるが、登場は1話の最後と遅かった。 むしろその話の主役はフェイトだったし…… + 彼女が管理局を辞めた理由 なのはが管理局を辞めた理由だが、療養自体は嘘ではないのだが、実は深い理由があった。 喫茶店を開く前から、夢で見るもの。 頻繁に見る悪夢、死人の山の中にいたり、血濡れの丘に立っていたり、声をかけたとたんにその人がいなくなったりという悲惨な状況などの夢ををしょっちゅう見るようになって、 自分が怖くなっていたのである。 第30話で洗脳されて以降、さらにそのトラウマは強くなり始めてくる。 それが因果なのか、下記の魔力の正体にもつながってくるのであるが。 + 彼女の魔力の正体 なぜ一介の地球人の彼女が、ここまで高い魔力を持っていたのか。それは彼女の前世に関係があった。 その前世とはミッドチルダにかつていた魔導師、エルリア・エムループ。 強大な魔力を持ちながらも周りから疎んじられていた人間である。 のちのキング・ハーツ首領となるディアブロ・カルソニクスの以前の名前であるセラフィム・タイロープとは恋人のような友達のような、不思議な関係が続いていたが、 「破壊と絶望」の力で本人が望まずともすべてを壊してしまう状況が続いていた。 そしてその滅ぼす力でセラフィムを捕縛、呪いをかけたのだが、その時にエルリアも砲撃魔法によって致命傷を負い、その場に倒れた。 セラフィムに、次元等から出られない呪いを残して。 そしてその口から出た言葉は…… 「……一人では、行かせない……なぜなら……私は……君が好きだから……」 愛するが故の、呪いと言う事であろうか。 + 結末は…… 魔導師が次元中から消えてしまうという現実を目の当たりにしたこと、セダンから追い打ちをかけられたことで、 ついになのはは倒れてしまう。 彼女の目を覚まさせたのは、ユーノの存在だった。 ここで、なのはとユーノはお互いに絆以上の絆、恋心ではっきりと結ばれることとなった。 それ以降の展開は、本編、ストーリー展開を参照してほしい。 + レイジングアーマー 戦闘スタイル 魔力の収束と放射が得意で、攻撃力と防御力はかなり高いものの、唯一の弱点ともいえる 機動力の弱さがあり、近接戦闘は苦手(それでも、子供の頃と比べるとだいぶ進歩している)。 ステータス 魔導師ランク AAA 攻撃力 A 防御力 A 機動力 D 魔法防御力 B 以前のSクラスからAAAクラスに魔力が減少している。 以前からの無理強いが祟ったというのが強く、回復はあまり見込めないということ。
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「姫矢さぁん!」 光の中に消えていくウルトラマン―姫矢准。僕はただ、彼の名を叫ぶことしか出来なかった……。 ダークメフィストこと溝呂木眞也と姫矢を包む消滅を告げる光が、異空間の暗い空を満たしていく。それはこの 一連の事件の終焉を示すものでもあり、また―……。 「ここは……何処だ?」 ウルトラマンで‘在った 者、姫矢准にとっては新たな始まりを意味していた。 鳴海の岸に流木と共に漂着していた彼の手には、デュナミストの証がしっかりと握られていた。それの僅かな鼓動と 共に、彼はこの世界で眼を覚ます。 手に入れたのは光の力。出会いと別れ。悲しみを知る彼が不屈の心を持つ少女と出会う時、新たな絆が生まれ来る。 魔法少女リリカル☆なのは~NEXUS~ 始まります 目次へ 次へ
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高町なのは 年齢:16歳 所属:時空管理局本局武装隊 航空戦技教導隊 役職:戦技教導官 階級:二等空尉 出身:第97管理外世界(現地惑星名称「地球」)極東地区日本・海鳴市 魔法術式:ミッドチルダ式 魔導師ランク:空戦S+ランク 魔力光:桜色 デバイス:レイジングハート・エクセリオン デバイス種別:インテリジェントデバイス 特技・特記事項:特殊技能「魔力集束」 武装隊の「エースオブエース」の称号を持つ一流の魔導師。 優しく面倒見が良い性格。ちなみに左利き。 休暇を利用して実家の海鳴市に戻った際に偶然、イデアゴーストと戦うゆうきと遭遇。 ゴーストを送り込んでいるのが管理局だと誤解したゆうきと敵対することになる。 二度目の戦闘でゆうきに敗北するが、ゆうきがなのはを悪人とは思えなくなったため和解する。 デバイスはベルカ式カートリッジシステムを搭載したインテリジェントデバイス「レイジングハート・エクセリオン」
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仄暗い玉座の間を薄明かりだけが照らす。 暗闇から七人の男女が姿を現す。 玉座には中華風の衣装で煌びやかに着飾った女性が立つ。威厳の割りに、その顔は若く美しい。 「集まったか、八卦集よ」 彼女の声に玉座の下、左右に控える七人が恭しく傅く。 「ついに我ら鉄甲龍の復活の時が来た。長く国際電脳を隠れ蓑としてきたが、もはやその必要はない!今こそ世界を冥府へと変える時ぞ!」 高らかに叫ぶ声に、全員が深深と頭を下げる。 「だが、その前にやらねばならぬことがある……。わかるな?」 七人の内の一人、仮面の男が一礼し答える。 「はっ。裏切り者『木原マサキ』の抹殺、そして彼奴に奪われし『天のゼオライマー』の奪還にございます」 「左様。だが既に木原マサキは死んだとのこと。なれば残るは、天のゼオライマーの時空管理局からの奪還。誰ぞ我こそはという八卦は居らぬか!?」 七人全員がそれに応えた。彼女はしばし悩んだ後に 「耐爬、風のランスターに命ずる!必ずや天のゼオライマーの奪還、もしくは破壊を遂行せよ!」 両目の下に八卦の証である紋を入れた青年を指した。 「御意っ!必ずや御期待に応えて見せましょうぞ!」 彼は勇ましく答える。それは彼女――幽羅帝への忠誠。だが、それだけではない。 一瞬、彼女が耐爬に送った、切なげな視線に気付く者は何人いただろうか。 また、自らが去った後の、幾人かの耐爬への嘲笑を彼女は気付かなかっただろうか。 後にこの事件は、一般には『鉄甲龍事件』と呼ばれることになる。だが、真実を知る一部の人々はこう呼んだ。『冥王事件』――と。 魔法少女リリカルなのは―MEIOU 第一話「冥王、黄昏に降臨す」 「鉄甲龍……ですか?」 居酒屋風、否、居酒屋のカウンターに男女二人が腰掛けている。 一人は八神はやて。時空管理局 本局古代遺物管理部 機動六課部隊長である。仰々しい肩書きだが、19歳という年齢からはそうとわかるものは少ないだろう。 「ああ、別名ハウドラゴン。現在は動きを見せてないがな。多分水面下で活動してるんだろう」 もう一人はゲンヤ・ナカジマ。陸上警備隊第108部隊の隊長だ。階級ははやてが上ではあるが、それを感じさせない砕けた口調だ。研修中に彼女の面倒を見た関係で、今でも相談に乗ることがある。 「せやけど、次元世界を股にかけて活動するなんてできるんですか?」 「まあ、普通は無理だろうな。だが、奴らはおそらく独自の次元空間航行船、いや要塞を持っている。本局レベルのものをな」 「そんな……」 それほどの組織が何故、今活動していないのか。疑問は尽きない。 「連中のテクノロジーは管理局と同等かそれ以上。位置を悟らせない何らかの仕掛けがあるんだろう。組織も局と違って一枚岩だ」 「何でナカジマ三佐はそんなに詳しいんですか?」 はやての疑問は当然のことだろう。一介の部隊長が知っていることではない。 はやても今まで聞いたことすらなかった。 「昔……ちょっとな」 「はぁ……」 僅かにゲンヤの顔が曇った。が、すぐに笑って誤魔化した。 「ともかくだ、八神。鉄甲龍という名を覚えておけ。だが、できればこのまま忘れることができればいいんだがな……」 「わかりました。ありがとうございました、ナカジマ三佐」 「いや、休みだってのにこっちから呼んで悪かったな」 「いえ、今日は話せてよかったです。失礼します」 鉄甲龍――店を出た後もその言葉が頭から離れなかった。 その日、ティアナ・ランスターとスバル・ナカジマはいつもの休暇を満喫すべく、街に繰り出していた。 ウィンドウショッピングに買い食い等々をたっぷり楽しみ、さあ帰ろうかという頃。既に太陽は落ちかけ、街は朱に染まろうとしている。 二人乗りのバイクを走らせていると、懐かしい姿を見つけた。向こうも驚いてバイクを急停止させる。 「美久!?」 彼女は確かに氷室美久だった。二人の魔法学校の同期生。流れるような美しい栗毛、大きな瞳はまるで卒業当時から変わっていない。顔立ちも髪の長さもそのまま、背だけが少し伸びただろうか。 「スバル……ティアナ?」 彼女もスバル達を見て驚いているようだ。 「うん!久しぶりじゃん!」 スバルはつい懐かしくて手を握る。すると彼女も昔のように微笑み返してくれた。 「ほんと、久しぶりね。二人とも元気そう」 「まぁ、元気じゃなきゃ勤まらないしね」 「そうそう。身体が資本だから」 そんな他愛ない会話を交わす。それは15の少女らしい姦しいやり取りだった。 「そういえばさ、美久って確か本局勤務じゃなかったっけ?」 「何かミッドに用でもあるの?」 「あ……うん。そうなんだけどね……」 その話題になると急に歯切れが悪くなってしまった。困った顔で俯いてしまう。 「(ちょっとスバル。あんまり聞かないほうがいいかもしれないわよ。辞めちゃったとかかもしれないし)」 ティアナがスバルに念話を飛ばす。 「(あ、うん。そうだね、ごめん)」 スバルはこういったことに少々疎いので、ティアナのフォローはありがたい。 「いいよ。また今度、都合が合えば同窓会でもしよ?」 スバル達が気を使ったのがわかったのか、美久はほっとした顔で微笑む。 「うん、そうね。ありがとう」 そう言って彼女達は別れる。後はこのまま隊舎に帰り、残り少ない休日を楽しみ、明日に備えて眠る――はずだった。 「ティア!あれっ!」 二人の背後に輝いていたはずの太陽が突如、覆い隠される。 スバルの指の指す先には巨大な翼を開いた白いロボット、50mはあるだろうか。 「なに……あれ?」 バイクを横転しそうな勢いで止めたティアナはそう呟いた。いや、それだけしか話せなかった。 「どこだぁ!!ゼオライマー!!」 ロボットは訳のわからない言葉を叫びながら降下した。 足元の建物を踏み潰しながら、肩からは竜巻を放出しながら物や人を巻き上げていく。 街はあっと言う間に悲鳴に包まれ、人々は逃げ出した――しかし、どこへ逃げればいいのか?それもわからず、ただ、あのロボットから少しでも遠くへ逃げようとしている。 「と、とりあえず報告しよう!」 「そ、そうね!指示を仰がないと!」 その当然の答えにたどり着くのさえ、時間を要した。報告をしようとした時、上から自分達を呼ぶ声に気付く。 「スバル、ティア!」 「なのはさん!」 スバルとティアの上司、高町なのは一等空尉である。彼女は既にデバイスを発動させ、バリアジャケットをその身に纏っていた。 「なのはさん!何なんですか、あれ!」 「落ち着いて、二人とも!」 すっかりパニックになりかけている二人をまず落ち着かせる。 「あのロボット、こっちの呼びかけには全然答えようとはしない。私とフェイトちゃんは戦いに出ようとしたんだけど、上から強力なストップがかかったみたいなの。だから今は避難誘導を急ごう。二人も手伝って!」 「は、はい」 それぞれのデバイスを構え、 「マッハキャリバー!」 「クロスミラージュ!」 「セットアップ!」 『Standby,Ready』 同時に二人はデバイスを起動、バリアジャケットを纏う――瓦礫の撤去や障害物の破壊、攻撃を受けた時のためだ。 「それじゃあ、よろしく!」 なのはは再び飛び去り、スバルとティアナは顔を見合わせ頷くと走り出した。 なのはは避難誘導を急ぐ。 だが、何故上からのストップがかかったのか。それだけは気になって仕方がなかった。 こうしている間にもロボットは建物を吹き飛ばし、踏みにじっているというのに。 だが、その答えはすぐにわかった―― 「っ!公園が!?」 近くの公園が割れ、大きなゲートが開く。中からせり上がってきたのは、同じく巨大なロボットだった。 暴れているロボットとデザイン的には近い。各所に突起があり、特に頭部の突起は一際目立つ。 最大の特徴は、両手の甲の丸い球。同じ物が頭部中央にもある。 「またロボット?」 現れたロボットはぎこちない動作で手足を動かした後、背部のバーニアから青い炎を噴出しながら空へと飛び上がる。 「現れたか!ゼオライマー!」 暴れていたロボットは、現れたロボットに反応し、同じく空へと飛び上がる。形状から見て飛行に適しているのだろう。 間接の駆動音を響かせ、翼のロボットが殴りかかる。金属がぶつかり合う轟音は、周囲の悲鳴さえも掻き消す。 殴られたロボットは大きく飛ばされ、車、建物――人を破壊しながら地面を滑っていく。 爆音は更なる悲鳴を呼び、炎は薄暗くなった空を照らす。 倒れたロボットは再度飛び上がるが、風に煽られバランスを崩す。そこに敵の攻撃を受け転倒。 それを何度か繰り返し、やがて完全にロボットは沈黙した。 「何と呆気ない……これが天の力か……?」 エンジンが止まったのか、両手と頭の球体の光も完全に消えてしまっている。 「なのはちゃん!たった今、上から命令が下された。避難完了まで、できるだけ時間稼いで!」 「了解!」 はやての通信にも疑問が残る――この事態に攻撃にストップをかけておいて、ロボットがやられると今更戦えと言ってくる、上の指揮には明らかに不自然な点があった。 だが、今はそうも言ってられない。すぐにその考えを振り払った。 「時空管理局です!直ちに攻撃を停止し――っ!」 最後まで言い終えないうちに突風が真横を通り抜ける。ロボットは完全になのはに向き直っていた。 「邪魔をするな!管理局の魔導士!」 「そっちがその気なら……!」 なのはもレイジングハートを構える。 あれだけの巨体だ。殴られただけでも完全に防ぎきることはできないだろう。だが、懐に入ることができれば――。 『Accel Shooter』 高速で接近しつつ光弾を発射する。無数の光弾は尾を引きつつ、全てが着弾した。 「駄目っ!威力が低すぎる!」 アクセルシューターではかすり傷程度しか負わせることができない。 なのはの弱みはそれだけではなかった。 自分とロボットの下には未だ多くの市民が残っている。 彼女はロボットを市街地から引き離そうとも試みたが誘いにも乗ろうとはしない。余程もう一体のロボットから離れたくないのか。 それとも市街地の上なら全力の攻撃もできないと考えているのか――。 (距離を取って、全力の砲撃で撃墜できたとしても、あの巨体が落下して爆発すれば被害はかなりのものになる……!) それがなのはの攻撃を鈍らせている。 「邪魔をするなら、貴様から死んでもらうぞ!デェッド!ロン!フゥーン!」 ロボットの肩から六つの巨大な竜巻が放出され、外から内へ、囲むようになのはを包みこんでいった。 「きゃあああああああ!!」 竜巻の中では上下左右の感覚すら失われる―― フィールドやバリアジャケットが削られていくのを感じる―― (このままじゃ……!) なのははできる限り最大のバリアを張る。 そのことでダメージは軽減され、竜巻の中で体勢を立て直すこともできた。 レイジングハートを構える。 「ディバイン……」 狙いは一点、竜巻の隙間から見えるロボット、その肩。 魔法陣が杖を囲む――意識を集中させ、掛け声と共に一気に解き放つ。 「バスター!!」 収束された桜色の魔力光はロボットの右肩の、風の噴射口に突き刺さり爆発した。 「ぐぅぅぅぅぅ!!」 突然の反撃に驚いたのか、ロボットは肩を抑えて仰け反る。 弱まった竜巻を突破したなのはは再びロボットと対峙した。双方とも中距離で睨み合う。 一触即発の空気が流れる。下はまだ避難する市民や車の、悲鳴やクラクションでうるさいのに、上空は不思議な程静かだ。 「さっきは随分とやってくれたようだな……」 それを引き裂いた声は―― 「小さい……?」 「ゼオライマー!?」 なのはとロボットは同時に驚きの言葉を口にした。 「八卦……『風のランスター』か……」 なのはとロボットの間に浮かんでいるのは確かにさっきやられたはずのロボット――否、ロボットの形をした鎧だ。なのはと大きさはそう変わらない。 若干角が丸みを帯びているが、全体のシルエットは全く変わっていない。違う点といえば、両手の甲の球体が金色に光り、胸部の穴に光が灯っていることくらいか。 「やはりデバイスの形に切り替えたのは正解だったようだ……。ハリボテのゼオライマーとはいえ、十五年間『鉄甲龍』と管理局の馬鹿共を釣る餌くらいにはなってくれたようだな」 鎧の中から聞こえてくるのは若々しい少年の声だ。だが、その響きはとても冷酷なものに思えた。 「貴様がっ!真のゼオライマーだとでも言うのかぁ!!」 激昂したランスターが鎧に対して拳を叩きつけるも、拳は彼には届かなかった。 「バリア!?」 巨大な拳を受け止める程の強力なバリアが展開されている。 「そうだ……これこそが真なる『天のゼオライマー』!!」 冷酷で、それでいて心底楽しそうな声。 (この人……自分の力に酔っている……!) 「その証を見せてやろう……!」 ゼオライマーは右手をランスターへと向ける。手の甲の光球が光を増す。 そして光球から、ゼオライマーの何倍もの大きさの光の帯が走った。 「ぐうっ!!」 光はランスターの右腕を付け根まで消滅させる。 「次元連結システムは正常に稼動……。小型化しても威力に大差はなさそうだ」 次元連結システム――なのはには聞き覚えのない言葉だ。 ゼオライマーは左腕の光球をランスターへと向ける。 「次は……これでどうだ?」 光球が一瞬輝くと、ランスターの右足が爆発し、地面に落下する。 またランスターもバランスを崩して落下していく。 「クックック、貴様に同じ台詞を返してやろう。"何と呆気ない"」 そう言って、また彼は笑った。まるで地を這う蟻を見下すように、天から人を見下す神のように―― 「では……そろそろ終わりにするか……」 ゼオライマーは両腕を高々と天に掲げた。両手と胸の光は更に輝きを増す。 これ以上は危険だ。 「止めなさい!もう決着はついてます!」 なのははレイジングハートを構えた。 それは直感的な行動に過ぎない。後々罰を受けるかもしれない。 それでも――この光は止めなければならない。 彼はなのはを見ようともせず、 「ふんっ」 軽く鼻を鳴らしただけだった。 「ディバインバスター!!」 彼が鼻を鳴らすと同時に放ったディバインバスター。 彼はランスターの拳をバリアで受け止めていた。そのことを考慮して、制限があるとはいえ、全力全開のディバインバスターを放った。 しかし、ディバインバスターが当たる直前にその姿が一瞬幻影のように掻き消え、再び現れた。 「そんな!?」 「冥王の力の前に――」 両手と胸の光はもはや直視できないほどに輝いている。 「負けられんっ!この戦だけはぁぁぁぁぁ!!」 ランスターはなんとか身を起こし、『天』へと手を伸ばす。 「駄目ぇー!!」 「消え去るがいい!!」 なのはの叫びも空しく、ゼオライマーは両手を胸の前で突き合わせる。輝きが最大に達した時、地上に光が生まれた―― 地を覆い尽くす光は、ランスターを中心に家を、街を飲み込んでいく。『天』を見上げる数百の人々と共に―― その光は見る者全てを恐怖させた。それは指令所でモニターを見ていたはやて、少し離れていた場所で部下に指揮を出すフェイトも同様に。 身体が小刻みに震えるのを抑えることができない。厳密には、それは力への恐怖ではなく、多くの罪も無い人々を躊躇いなく消滅させることのできる者への恐怖――。 それはもはや人ではなく、まさしく――『冥王』。 「クックックッ……アーッハッハッハ――!!」 ならば今、なのはの前で笑っているこの男は――。 「そうだっ!ティア!スバル!聞こえる!?応答して!」 念話にも返事は返ってこない。 「まさか……」 眼下に広がる光を見る。広範囲に渡って街を包むそれは、まだ一向に消える様子はない。 この日、時空管理局は大規模な次元震を観測した―― 目次へ 次へ
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~Prologue~「壊れた日常」 FF8inなのは~Prologue~「壊れた日常」 アルティミシアとの戦いから2ヵ月後。 スコールはSEEDとしての任務を全うしていた。 (これも、愛すべき日常か…) そう思い、現れた敵をG.F.(ガーディアンフォース)で蹴散らす。 「エデン!!!」 そう言って彼はG.F.を召喚し、エデンの技、「エターナルブレス」で敵を消し去る。 ここまではよかった。 だが次の瞬間、彼の日常は、突然変わる。 (…ん?) エデンが彼の中に帰った後、突然エデンのもといた場所に光の渦が出来ている。 そして、彼を、吸い込んでいく―――――― 「なにっ!?」 突然加わった力に逆らえず、吸い込まれていくスコール。 そして意識は、闇の中へ―――――――― そしてそのころ、なのはたちの世界では… 「なんでこう、一度にたくさん出てくるかなあ…」 時空管理局のフェイト・T・ハラオウンは一人つぶやいた。 今回の任務は、突然現れたガジェットの一掃であった。 まずは、目的地に急ごう。そう思って、スピードを上げて目的地にたどり着いた。 でも、彼女は知らなかった。 もう、そこにいたガジェットの3分の2は「彼」によって倒されていたことを―――――― さて、ところ変わってスコールの側。 彼が目覚めたとき、廃棄されたような居住区にいた。 起き上がり、手の中にあるガンブレードを見る。 リボルバー。彼のガンブレードの名前だ。 (それにしても、ここは……どこだ?) 彼がそう思った瞬間、無数のガジェットが襲ってきた。 「!?」 戦いの本能が目覚めたのか、ガンブレードを強く握る。 (味方でもなさそうだ) そう判断した彼は、ガンブレードを握り、ガジェットの群れに突っ込んでいく。 その瞬間から、彼の戦いは始まった。 第一話「start」
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メビウス×なのは氏の手がけた作品 No. タイトル 005 反逆の探偵 TOPページへ バトロワまとめへ このページの先頭へ
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魔法少女フルメタなのは クロス元:フルメタル・パニック! 最終更新 08/02/01 第一話「世界からのシグナルロスト」 第二話「流れ着いた兵士達」 第三話「新たな生活」 第四話「wake from death」 第五話「邂逅、そして激突」 番外編その一「馬鹿騒ぎのレディーズ’バス」 番外編その二「回避不能なホームメイドディッシュ」 エリオと金色の獣 クロス元:うしおととら 最終更新:08/03/02 其の一「エリオととら、出会う」 其の二「とらと魔法と次元世界」 魔法忍者リリカル鴉 クロス元:忍道 戒 最終更新:08/05/02 第一話「鴉、来たる」 第二話「八神家」 第三話「ヴォルケンリッター」 第四話 前編 第四話 後編 第五話「嵐の前」 番外編「弁当とフラグ立て」 拍手感想レス :とらの身長は4メートルです! TOPページへ このページの先頭へ
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マクロスなのは 第7話『計画』←この前の話 『マクロスなのは』第8話「新たな翼たち」 「ここが校舎だ」 食堂から出てミシェルに案内された場所は所内にある比較的古いコンクリート打ち付けの建物だった。 表札もおそらく昔の名前、『技術開発研究所 化学部門』となっている。 「案外古い建物を使ってるんだな」 アルトの呟きに、玄関の階段に足をかけたミシェルが答える。 「ここにはまだ予算があまり割かれてないんだ。まだ訓練を始めて2週間だからな」 「そんなものか」 アルトは階段に足を掛けながら後ろを歩く生徒達を流し見る。 昼食の時に話を聞いた所、大多数がリンカーコア出力がクラスBの空戦魔導士だった者達で、一様に理系―――――特に工学を学んだ者で構成されていた。(そのためか女子生徒は1人のようだ) やはりバルキリーに乗るためには自分の乗っている物がなぜ飛ぶのか、そういう事がわからなければ緊急時に対応できない。そのことを管理局も理解しているらしかった。 玄関をくぐると、ミッドチルダには珍しい褐色の肌をした男と鉢合わせした。 「よう、ミシェル。・・・・・・ん?そちらの2人は?」 「ああ。さっきのリニアレールの事件で手伝ってもらった、機動六課の高町なのは一等空尉に、〝アルト姫〟だ」 アルトは聞くと同時にこの金髪のクソ野郎をぶん殴ってやろうかと思ったが、彼にはそれでわかったらしい。 「ああ、あなたが。噂は聞いています。私は第51次超長距離移民船団『マクロス・ギャラクシー』所属、新・統合軍のミラード・ウィラン大尉です」 教官をしていて今の階級は三等空佐ですが。とつけ加える。 「こんにちは、高町なのはです」 笑顔で応対するなのは。一方、『マクロス〝ギャラクシー〟』と聞いたアルトは一瞬身構えたが、彼の友好的な顔からは敵意はまったく感じられなかったためそのまま会釈だけで簡単に流した。 「こんにちは。・・・・・・しかし噂通りお2人とも美しい女(ひと)だ。・・・・・・ああ、そういえばアルトさんは報道でお見受けした時もそうでしたが、普段から〝男装〟をされているんですね。それでも内に秘めた美しさが垣間見えるようでよく似合っておいでですよ」 まったく悪意のないウィランの自然な言葉に、後ろから生徒達のクスクス笑いが聞こえる。 「だ、誰が男装だ!!誰が!?」 アルトは全力で否定した。舞台以外で性別を間違えられるなど、自身のアイデンティティーに関わる。 ウィランもこの美青年の声にようやく気づいたようだ。 「え?・・・・・・あ、いや失礼。ミシェルの話から早乙女アルトは女性だとばかり―――――」 どうやらさっきのスパイス、そしてこれはミシェルの差し金だったらしい。 「ミ・ハ・エ・ル、貴様ぁ!!」 激昂するアルトに 「俺に勝ったら男の子って認めてやるよ。〝姫〟」 と涼しい顔。 突然険悪になった2人を生徒やウィランはハラハラと、なのはは苦笑しながら見ていた。 (*) 「それでは当初の予定通り、午後はシュミレーターによる実習だ」 ミシェルが生徒を前に宣言する。 彼の後ろには縦2メートル、横5メートル、奥行き3メートル程の箱がある。どうやらあれがシュミレーターらしい。中にはバルキリーの操縦席がある。 「内容は会敵、戦闘となっている。だが、これで5分も持たないような奴は―――――」 ウィランが鋭い視線で生徒達を威嚇した。 ミシェルが時たま見せる眼光にもスナイパーであるためか見られたものを竦み上げさせる力があったが、所詮まだ高校生。40以上で、下っ端からの叩き上げという彼とは場数が違った。 そうして生徒の1人がデバイスを起動してバリアジャケットに換裝する。それは紛れもなく軍用EXギアだった。どうやら『メサイア』とは腹違いの兄弟らしい。 着なれているらしく、シュミレーターに乗り込む彼の動きに無駄はなかった。どうやら訓練を始めてから2週間というのは本当らしい。 シュミレーターが稼動すると他の生徒達はディスプレイの前に集まる。どうやらシュミレーターとこの画面とはリンクしており、観戦ができるようだった。 画面に浮かぶ自機、VF-0はクラナガン上空を飛ぶ。そこに現れたのは50機を優に越えるであろうガジェットⅡ型の大編隊。 本来の生身の戦闘ではとても勝てないであろう彼らに向かってVF-0は獰猛果敢に突入する。 アルトはこの戦いを見てこの訓練は始まったばかりだと感じた。可変の使い方を心得ていない。 可変という特殊機構をもつVFシリーズは戦場を選ばぬ全領域の汎用性がある。そのためこの機構を使いこなしているかで即、技量がわかる。 可変の使い方の基本としては、ファイターは高速度と高機動を生かして敵中突破または距離をとるために。ガウォークは戦闘ヘリのような小回りを生かしての戦い。バトロイドは腕という名の旋回砲塔による全方位攻撃や近接戦闘に。 しかし元空戦魔導士だった彼らはファイター又はバトロイド形態に固まってしまい、ガウォークを中間とする流れるような運用ができていなかった。しかしそれでも頑張っていられるのは魔導士時代の実戦経験と、戦闘のノウハウがあることが大きいだろう。 これがある者は例えバルキリーの操縦カリキュラムをすべて履修したが、実戦経験がないという者に比べても差は歴然である。 これのない者は戦場では空気だけで押しつぶされてしまい、実力の半分も出せない。対してある者は冷静に事態を見つめることができ、なおかつ経験を元に独創的な戦法を思いつくことができる。 さらにここの1期生達は元は優秀な魔導士だったらしい。ただ、ガジェットを相手にするにはリンカーコアの出力が低かったため戦力外通知され、ここに引っこ抜かれたという。 そのため1期生は戦闘技術なら実戦レベルであり、バルキリーに慣れさえすれば、『バジュラ本星突入作戦』に投入された緊急徴用の新人パイロットより十二分に戦力になりそうだった。 生徒の最後の1人が敵の猛追を受けて撃墜で終わり、さてどうするのだろう?と遠巻きに観察していると、ミシェルがこちらに来て言う。 「なのはちゃんもやってみる?」 「へ? わたし?」 ミシェルの突然の誘いに、彼女を尊敬しているという女子生徒にアドバイスをしていたなのははキョトンとする。 「そう。滅多にやれないと思うよ」 この誘いにしばし迷っていた彼女だが、周囲の期待のこもった空気にのせられ、承諾した。 「あ、でもわたしEXギアがないから出来ないんじゃ―――――」 「大丈夫。こっちで用意するよ。なのはちゃんのデバイス・・・・・・そう、レイジングハートをちょっと貸して」 言われたなのはは胸元にある赤い水晶のような石、レイジングハートをミシェルに手渡す。 彼はそれを端末に置くと、パネルを操作していく。 「・・・・・・ああ、『三重(トリ)フラクタル式圧縮法』か。ずいぶん洒落たの使ってるね。・・・・・・それに最終形態時の常時魔力消費(バリアジャケットや各種装備を維持するのに必要な魔力)率が15%って結構無茶するね・・・・・・」 なのははミシェルの一連のセリフに驚いたようだった。 「そんなにすごいことなのか?」 なのははアルトの問いに頷くと、理由を説明した。 『三重フラクタル式圧縮法』を使えば、普通のデバイス用プログラム言語の約3分の1の容量で同じことができる。しかし通常のデバイスマスターでは扱えないし、それであることすら看破できない代物であった。 しかしミシェルはそれを斜め読みしただけで解読しているようだったからだ。 「ミシェル君にはわかるの?」 「まぁね。姫にもわかるはずだぞ」 「はぁ?ミシェル、俺はガッコ(学校)で習ったプログラム言語しか知らん―――――」 「じゃあ見てみろよ。ほれ」 ミシェルは開いていたホロディスプレイの端をこちらに向かって〝ツン〟と指で突き放す。 (仕方ないな・・・・・・) 俺はスライドしてきたホロディスプレイを手で掴んで止め、投げやりに黙読を始めた。 もし現代のプログラマーがパッと見ることがあれば、見た目数字とアルファベットがランダムに配置されていて、なにか特殊な機械語だと思うかもしれない。 しかしアルトにはすぐに見当がついた。中学生時代、人類が生み出したC言語などを全て極めた後でようやく習ったプログラム言語――――― アルトは猛然とミシェルに駆け寄ると、画面を指差して叫んだ。 「おい!こいつは紛れも無く〝OTM(オーバー・テクノロジー・オブ・マクロス)〟じゃねぇか!?」 そう、これはOT(オーバー・テクノロジー)を有機的に運用するのに最適化されたSDF-01マクロス由来のプログラム言語だった。 「ああ。そうだな。わかるっていったろ?」 「だが何で―――――!」 こいつらがこれを知っている?というセリフを直前で飲み込むアルトだが、ミシェルは 「さぁな」 と肩をすくめて見せただけだった。 そして彼は顔にハテナを浮かべる生徒やなのはを見て当初の目的を思い出したのか端末に操作を加え始めた。 「えーと・・・・・・ここを繋いで・・・・・・これをペーストして・・・・・・第125項を第39項で繰り返す・・・・・・よし、これでIFS(最初にバリアジャケットのイメージデータを作成するシステム)に繋がるはずだ。これからバリアジャケットのイメージデータを送るから、待機してもらってて」 ミシェルは自身の端末を操作しながら、なのはに指示を出す。 「わかった。レイジングハート、お願い」 『Yes,My master. IFS(Image・Feedback・System) connecting ・・・・・・complete. All the time.(はい、マスター。IFSに接続中・・・・・・完了。いつでもどうぞ)』 「じゃあ、始めるよ」 ミシェルは言うが、変化はほとんどない。レイジングハートが数度瞬いたぐらいだ。そして不意に端末を畳むと、レイジングハートをなのはに返した。 「終わったよ。着替えてみて」 なのはは頷くと、その手に握る宝石に願った。 アルトは手で隠すように眩い桜色の光を避ける。するとそこから光臨してきたのは、いつもの白いバリアジャケットではなく、EXギアを着たなのはの姿であった。 しかし――――― 「これが・・・・・・うわっ」 予想以上の動きに大きくふらふらする。そしてバランスをとろうとして動かすとさらにバランスを崩し―――――と事態をどんどん悪化させていく。 「動かないで」 ミシェルが落ち着いた声でそう彼女に釘を刺すと、応援に来たアルトと共にそれを制していった。人間焦った時動かす場所など決まっているものだ。アルトやミシェルのような熟練者であればEXギアを生身でも制止することは可能だった。 「ふぅ・・・・・・トレース(真似)する動きは最低の1.2倍になってるけど、動く時には気をつけて。もし危ないと思ったら体は動かさず、いっぺん止まること。バランサーのおかげでどんな姿勢でも転倒することはないし、なのはちゃんが動かなきゃコイツは動けないから。OK?」 「う、うん・・・・・・」 彼女は素直に従い、ミシェルにエスコートされながらゆっくりシュミレーターに乗り込む。そして簡単な操縦機器の説明を受けるとシュミレーターを稼動させた。 『わぁーすごい!』 なのはの邪気のない声がスピーカーから届く。 たとえその身1つで飛べるとしても、やはり飛行機のパイロットの席に座る感触はまた格別である。 アルトもEXギアで飛ぶのと同じかそれ以上にバルキリーで飛ぶことを楽しんでいるので、なのはの気持ちはよくわかった。 「それじゃなのはちゃん、操縦の説明は―――――いらないみたいだね」 ミシェルはそう言うと、曲芸飛行をはじめたVF-0を見やった。 縦宙返りをして頂点に来るや360度ロール。再びループを継続すると、元いた場所に戻る。 そしてそこで鋭くターンすると、先ほどループした中心を貫いた。 その航跡が〝ハートを貫く矢〟に見えたのはアルトだけではあるまい。 なのははこの短時間でVF-0を乗りこなしたようだ。 その後も捻り込み、コブラなど曲芸を披露していった。 『うん、いい機体!』 なのはは水平飛行しながら足のペダルに直結された可変ノズルを操作して機体を揺すった。 「なのはちゃん、十分出来そうだね」 『うん。戦闘機の空戦機動ならみっちり〝練習〟したから』 それを聞いたミシェルがニヤリと微笑む。 「それじゃうちの生徒と同じ難度でやってみる?」 『うん!お願い!でも邪魔だからコンピューター補助全部切ってマニュアルにして』 「え?でもそれじゃ機体制御が難しくなるし、限界性能が出ちゃうからG(重力加速度)で気絶しちゃうかもしれないよ?」 しかしなのははカメラ目線になると、ウィンク。 『お願い』 と繰り返した。 「・・・・・・わかったよ。それじゃ、お手並み拝見」 ミシェルは肩をすくめて言うと機体の設定をいじり、訓練プログラムを作動させた。 出現するガジェットの大編隊。 なのはの操縦するVF-0はファイターで単身敵に向かっていく。その間チャフ(レーダー撹乱幕)とフレアを連続発射してあらかじめロックをかわす。 そしてすれ違った時には敵のうち数機が破片になっていた。 『〝LOMAC(LOCK ON MODERN AIR COMBAT。第97管理外世界に存在するフライトシュミレーション)〟で培った私の技術、今ここに見参!』 神技であった。 突然ピッチアップしたかと思えばそのまま後転。機首を元来た方に向けると、敵をマルチロック。続いてマイクロミサイルを斉射し、まったく回避動作に入っていなかったガジェット数機を葬った。 続いて追ってきたガジェットになのはは機首を上にしてスラストレバー(エンジン出力調整レバー)を絞る。すると機体は失速するが、なのははそこから可変ノズルを不規則に振ってハチャメチャにキリモミ落下を始めた。 これに似た機動は第97管理外世界ではフランカーシリーズの最新鋭戦闘機だけができる曲芸だが、VF-0でも潜在能力として出来た。 また可変ノズルなどの機構やOTM、そして操縦の完全マニュアル化によってそれら戦闘機より鋭く、速く行え、この機動中も制御が利くので、複雑な軌道なため狙いがつけられず棒立ちのガジェットを次々ほふっていった。 開始1分でガジェットを10機以上葬ったなのはのVF-0はその後もファイターしか使わない。いや、EXギアシステムが満足に使えないため、それをトレースするバトロイド、ガウォークなど使えない。 そのため遂にはミサイル、弾薬が尽き、戦闘空域から離脱する前に無限に出てくる敵の損害覚悟の包囲攻撃にさらされた。 「まだまだ!」 なのはは機体を180度ロール。続いて主観的な上昇をかけて急降下。いわゆる『スプリットS』を実行し、下界のビル群に突入した。 ガジェットも彼女を追わんとそこへの突入を敢行する。 「さぁ、どこまで着いてこられるかな!」 彼女は乱立するビルの間を音速で飛翔する。 本当にやったらビルのガラスが割れてその中の人や道路を歩いている人が大変なことになるが、なのははまったく気にしていないようだ。 秒速数百メートル単位で迫るビルという名の障害物を絶妙な機動で縫っていくなのは。 そんな魔のチキンレースにガジェットは更に10機ほどがビルにぶつかって散った。 しかし目前のビル群がとうせんぼ。正に袋のネズミになってしまったなのはに上空待機していたガジェットが大量に急降下を仕掛けてきた。 万策尽きたらしい彼女はスラストレバー全開で敵に特攻。数機を相討ちにするが、自らは激突寸前にイジェクト(脱出)して生き延びるという狡猾さを見せた。 「ふぇ~、やっぱり難しいよ~ぅ」 などと〝可愛く〟言いながらシュミレーターから出てくる。しかしこの20分で築き上げた撃墜数は1期生を余裕で上回る62機を叩き出していた。ちなみにこれには、ビルに激突して散った機は含まれていない。 おそらく実戦なら脱出後、生身でさらに80機近くを落とすだろう。 (さすがは管理局の白い悪魔・・・・・・) この時全ての人が同じ思いを共有していたという。 (*) 「さて、アルト姫。ここで生徒達にお手本を見せてくれるかな?」 なのはの奮戦を見て血のたぎっていたアルトはすぐさま応じ、メサイアを着込む。そしてシュミレーターから降りたなのはの、 「頑張って!」 と言うエールを背中に受けながらシュミレーターに乗り込んだ。 ハッチが閉じ、コックピットの機器に光が灯っていく。 操縦系統はEX(エクステンダー)ギアシステムを採用したためかVF-25と相違ない。アルトは自らの技量を過信するわけではないが、いくら旧式VF-0のスペックでも、ガジェットごときに落とされるとは思えなかった。 (*) シュミレーター外 なのははミシェルがシュミレーターのコントロールパネルに操作を加えるのを見逃さなかった。 「ミシェル君、なにをしたの?」 なのははそう言いつつミシェルが操作していたコントロールパネルの『難易度調整』と書かれたダイヤルを見た。ダイヤルのメーターはMAX(最大)を示している。 「普通の難易度じゃ、あいつにゃすぐクリアされちまうからな。あの高慢チキな鼻っ柱をへし折るにはこれぐらいで丁度いいんだよ」 その難易度はなのはや生徒達よりも8段階以上、上の設定だ。なのははシュミレーターの前で静かに合掌した。 (*) 「おいおい、ミシェル!これはなんなんだぁぁぁ!?」 アルトは迫るHMM(ハイ・マニューバ・ミサイル)をチャフ、フレアに機動を織り交ぜて必死に回避し、EXギア『メサイア』とシュミレーターの発生する擬似的なGに喘ぎながら通信機に怒鳴る。 後方にはライトブルーの機体が3機。機種はアルト達の世界でも最新鋭の無人戦闘機QF4000/AIF-7F「ゴースト」だ。 このゴーストは現在、新・統合軍の主力無人戦闘機だ。 有人機と対決した場合、高コスト機体であるAVF型(VF-19やVF-22)であっても1対5のキルレシオ(つまり、ゴーストが1機落とされる間に5機のAVFが撃墜されているということ)を誇り、VF-25で初めてタメが張れるという恐ろしい機体だった。 『あれ?生徒達の前で恥をかくのかな?』 それだけ言って通信は切られた。 「くっそ!覚えてろよミシェル!うおぉぉーーー!!」 アルトは持てる技術を総動員し、旧式VF-0で現役ゴーストに挑んだ。 (*) ゴーストは宇宙空間や大気圏でのいわゆる〝空中戦〟に特化しているため、このまま敵のフィールドである空中にいたらタコ殴りになると急降下。 1機を市街地のビル群に誘い込み、バルキリーの最大の特徴であり、得意であるバトロイドやガウォークなどで市街地機動戦を展開。罠にはめてガンポッドで見事撃墜した。 しかし残る2機にミサイルを雨あられと降らされ、袋叩きに会うこととなった。 「なめんなぁ!」 アルトはアフターバーナーも全開に急上昇を掛ける。 それによって空間制圧的に放たれていたミサイル達は飢えた狂犬のように従来の軌道を捨て、そこに集中する。 それを見越していたアルトはその瞬間ガンポッド、ミサイルランチャーなど全装備をパージしてデコイ(囮)とし、その弾幕をなんとかくぐり抜けた。そして間髪入れずにバトロイドへと可変すると、目前にいたゴーストに殴りかかった。 PPBの輝きも無い無骨な拳は見事主翼を捕らえてそれを吹き飛ばし、軌道が不安定になったゴーストを残った腕で掴むと、主機(エンジン)と武器を殴って全て停止させ、ミサイルランチャーからミサイルを1発拝借した。 もはや翼を文字通りもがれて鉄くずとなったゴーストだが、まだ利用価値がある。 バトロイドとなったことで急速に遅くなったVF-0に、残った最後のゴーストが接近掛けつつミサイルを放ってくる。その数、10以上。 そこでアルトは鉄くず同然のゴーストをミサイルに向かって投げつける。そして腕のみを展開したファイターに可変したVF-0は最加速して投げたゴーストに追いつくと、手に握っていたミサイルをそのゴーストに投げつけた。 直後に襲う衝撃。 ミサイルとゴーストの誘爆で大量の熱量と破片、そして衝撃波が放たれる。そして向かってきていたミサイル達はその目的を果たす前に、VF-0に重なるように出現した熱源に誘われて破片にぶつかったり、爆風の乱流で他のミサイルにぶつかったりとそれぞれの理由で自爆した。 その代償はVF-0にも降りかかる。VF-25であればファイターでも転換装甲が使えるため何とかなったはずの破片だが、スペックが完全に古いままらしいVF-0には多数の破片が弾丸となって機体を襲う。 主翼を半分ほど持って行かれ、腕は両方とも寸断され、可変機構にも深刻なダメージを与えられ、エンジンはガタが来ていた。 しかしVF-0はまだ飛んでいた。そしてアルトの瞳も最後のゴーストを捉えて離さなかった。 数々の損害を代償にミサイルの回避と莫大な推力を貰ったVF-0は一瞬にしてゴーストの前に躍り出た。 発砲されるレーザーの嵐。 通常なら回避する攻撃だ。しかしこのエンジンの様子だともはや攻撃はラストチャンスであり、残された攻撃方法も特攻以外に残されていなかった。 コックピットへと飛び込んできた無数のレーザーに全身が焼けるように熱くなって感覚が失せる。だがアルトの突入への気迫が勝った。 「終わりだぁーーーーー!!」 VF-0は迷わず特攻を敢行。その1機を相打ちにした。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」 アルトはブラックアウトしたシュミレーターの全天画面の下、しばし休憩する。 全身がジンジン痛むが、体はなんとも無いし、徐々に収まる。どうやら被弾の痛みはEXギアの仕業のようだ。脳に直接信号を送り込んで激痛を走らせているらしかった。 それにメサイアの生み出す擬似的な重力加速度やシュミレーターのハイレベルな完成度からまさに真剣にやったため、たった5分の戦闘での疲労はフルマラソンに3~4回連続出場したレベルにまでアルトを追い詰めていた。 そうして満身創痍でシュミレーターを降りた彼を迎えたのは『ミンチ・キロ100円』や『I m dead』等と書かれたプラカードを持ったミシェルではなく、生徒やなのは達の満場の拍手だった。 「さすが〝アルト〟だ。俺でも2機しか落とせなかったのに」 ミシェルが正確に名を呼んだこと。それがアルトに対する最大級の賛辞を表していた。 (*) その後場所を普通の部屋に移し、講義が行われた。教壇で筆をとっているのはあのウィランだ。 内容としては比較的普通のことを教えている。バルキリーで使われるOT・OTMの基礎理論を普通と呼ぶことができればだが。 「―――――従来型の翼で空力制御し、上向きの力を得るやり方と、OTによって力を得る方法がある。工藤、主に何の力があるか言ってみろ」 ウィランの指名にただ1人の女子生徒、工藤さくらが立ち上がって答える。 「は、はい!〝摩擦〟〝圧力〟〝誘導〟の3種類です」 「では従来の揚力方程式にOT加えるとどう置き換えればいいか?」 続くヴィランの詰問にさくらは 「抗力係数をClから・・・・・・」 と従来の式の係数はスラスラ出たが、それを加えるとどうなるかを忘れたのか、大慌てでプリントをペラペラめくる。 「えぇーと・・・・・・Cdに置き換えればいいはずです」 ウィランはよろしいといって彼女を席に着かせ、講義を再開した。 アルトには自明のことだが、なのははためすすがめつしながら複雑な計算式の書かれたプリントとホワイトボードに書かれた計算式を見比べ、しきりに顔を捻る。 なのはは見たところ理系に近いが、1期生達のような工学系大学出身でも手間取るのに、彼女のような中卒でOTやOTMを理解しろというのも無理な話だろう。 ちなみに第1管理世界の教育は短期集中で、大学でも15歳で卒業できた。 (*) 90分の講義が終わり、アルトが時計を見るとすでに16時を回っていた。 ロングアーチに技研に行く旨は伝えてあるが、報告書の提出など帰ればやることはたくさんある。 「なのは、そろそろ―――――」 「そうだね」 なのはが頷く。 現在教室は休憩時間に入っており、生徒のほとんどが机に突っ伏して静かに寝息を立てている。 「それじゃさくらちゃん、頑張ってね」 「はい。ありがとうございます」 唯一の女子生徒、工藤さくらが笑顔でなのは達に手を振ると、机に吸い寄せられるように横になり、数瞬後には 「くー・・・」 とイノセントな寝息をたて始めた。 生徒達はいつもハードスケジュールらしい。 アルトとなのはは顔を見合わせて笑うと、静かに教室を抜け出し、教員室に向かった。 (*) 「もう、お帰りに?」 ウィランが惜しそうに言う。 「はい。今日はお世話になりました」 「いえ、こちらこそ。また来てやってください。あいつらのいい刺激になるので」 「はい♪」 なのはが満面の笑み。間違いない、コイツはまた来る気だ。 アルトは頭を抱えたが、同時に彼に問おうと思っていたことを思い出した。 「ところでウィラン三佐、ギャラクシー所属だったそうですけど、どうやってここへ?」 アルトの問いに、机に向き合っていたウィランがコンピューターにワイヤード(接合)していたコネクターを外し、コードとともに〝耳の後ろ〟辺りに巻き戻した。それがあまりにも自然な動作だったためアルトですら一瞬気がつかなかった。 「え? アンドロイド?」 ミッドチルダではインプラント技術が進んでない(フロンティア同様、医療目的以外禁止されている)ため、なのはが目を白黒させる。 そんな彼女のセリフにウィランは一笑すると 「残念ながら全身義体じゃないよ。これはただの後付けの情報端末で、あとはナチュラルだ」 と簡単に説明した。そしてイスを引くと、アルト達に向き直る。 「・・・・・・それで本題だな。実はギャラクシーの急をフロンティアに伝えようと急ぎすぎたんだ。おかげで機体のフォールド機関が暴走してこの有り様だよ」 彼は肩を竦める。どうやらウィランも同じくフォールド事故で来ていたらしい。 「機体はどうなりました?」 「俺の乗っていた高速連絡挺は技研に差し押さえられてしまったよ。だが糞虫どもにやられてボロボロだし、連中の手には余る代物だからな。ほとんど解析出来なかったみたいだ。フロンティアの脱出挺が来てからは、OTの流出を最小限にして管理局を手伝おうと思ったんだが・・・・・・バレちゃったみたいだな。昨日、連中がいきなりフェニックスの変換装甲を作動させた時は驚いたぞ」 「いや、その、すいません・・・・・・」 どうやら技術の漏洩を黙認していたのはアルト達だけらしかった。 「まぁ起きてしまったことはもう仕方ない。おかげで量産のメドが立ったし、幸いここの連中はいいやつだ。OTを人殺しに使うようなことはないだろう」 ヴィランはそう言ってアルトの肩を叩いた。 その後フェニックスの整備に行っているというミシェルによろしくと言い残し、アルトとなのははフェニックスと一緒に陸路で搬入されたVF-25の待つ格納庫に向かった。 (*) 格納庫に着くと、知らせを受けたのか田所が待っていた。 「田所所長、お見送りですか。ありがとうございます」 なのはが一礼。 「いや、しっかり謝りたかったのだ。・・・・・・アルト君すまなかった、あの事を隠していて」 アルトはかぶりを振る。 「必死だった。どうしてもここの人々を守りたかった。そういうことなんだろ?」 田所が頷く。 「なら、恨みっこなしだ」 アルトは踵を返すとVF-25に向かう。しかし立ち止まり、背を向けたまま一言呟いた。 「俺も言い忘れてたけど、VF-25を―――――俺の恩人の形見を直してくれてサンキューな」 「うむ。いつでも来い。今度来たときにはその機体のかわいいエンジンをギンギンにチューンしてやる」 アルトは振り返り 「ああ」 と破顔一笑。そしてなのはを伴ってVF-25のコックピットに収まると、すっかり暗くなった夜空に飛翔していった。 ―――――――――― 次回予告 シェリルの元に届く知らせ。 それはアルト達の居場所を導く手がかりとなるものだった! そして決行される乾坤一擲の大作戦。その成否はいかに! 次回マクロスなのは、第9話『失踪』 「あたしの歌を、聞けぇぇー!」 ―――――――――― シレンヤ氏 第9話へ